※ネタバレなし
こうの史代先生の原作がスゴイ!
映画を観る前に、原作を読むべきか?
映画を観た後に、原作を読むべきか?
迷いに迷い、前者を選ぶ。
ものすごく丁寧に描かれていて、上中下の、たった3巻なのに、20巻くらいあるんじゃないか!と思ってしまうほどの、濃密さ。
ものすごい作品に出会ってしまった!と、アニメ映画化が不安になってしまったほど…。
昭和19年~21年の出来事を描いた作品を、平成19年~21年にかけて連載。年と月が一致するように…という“魅せ方”も、ステキすぎる。
映画を観る前に、3回読み直す。読み直すたびに、小さな発見もあったり、また違う感情が生まれてきたり…。
ドキドキしながら試写会へ
若干の不安を胸に…。途中、道に迷いつつ…。(いらない情報)
主人公すずさんを演じる、のんちゃんの第一声を聴いた時、ほっと、胸をなで下ろした。
すずさんと、のんちゃん
のんびりしていて、おっちょこちょいで、優しさに溢れていて、とてつもなく、お茶目…。
片渕須直監督が、すずさん役に、のんちゃんを推した理由がわかる気がする。
なんとも言えず、抜けた感じ。
すずさんと、のんちゃんのお茶目さが重なり、心を鷲掴みにされた。
のんびりとスピーディーに
映画は、とてものんびりと、だけど、とてもスピーディーに進んでいく。全体の雰囲気は、ゆったりしているのに、スピードを、時の流れを感じる。
原作3冊分が、125分に、ギュッと、詰め込まれている。
作画も、音も、原作同様、すごく丁寧に作られていて、まばたきをするのが、惜しいほど。
感情が忙しい…
戦時中の、辛くて、たまらないシーンも描かれている。
試写会の会場からは、すすり泣く声が聞こえた。わたしは、泣かなかった。
すずさんが、強いから、強くて、優しいから、わたしが、泣いている場合ではない、と思ったのかもしれない。
なまぬるくない時代
出てくる人が、皆、やさしい。
細谷佳正さん演じる、北条周作も、小野大輔さん演じる、水原哲も、出てくる人が、皆、やさしい。
だけど、戦っている。
本気で生きているから、出てくる言葉は、すべて本物で、つまらないウソをつくヒマはない。
息苦しくなった…。
平成28年、我々は、真摯に生きているのだろうか。
後世に残したい作品
もう1度観たら、どんな風に感じるだろう。さらに、もう1度観たら、どんな風に感じるだろう。
あと10年後に観たら、どんな風に感じるだろう。今すぐにでも、あと3回は観たい。
自分の子どもにも、いつか観てもらいたい。この映画を、ちゃんと感じられる、大人になってもらいたい。
この世界の片隅に
個人的には、リンさんとのシーンをもうちょっと見たかったなぁ…。それは、わたしの名前が「りん」だから!では、もちろんなく………
「誰でも何かが足らんぐらいで
この世界に居場所は
そうそう無うなりゃせんよ」
そんな風に言い切る、リンさんが、とてつもなく魅力的だから…。
「この世界の片隅に」
わたしも、生きている…。
いちおう、居場所が、あるみたいだ。
劇場用長編アニメ
「この世界の片隅に」公式サイト
【声の出演】
のん/細谷佳正/稲葉菜月/尾身美詞小野大輔/潘めぐみ/岩井七世/澁谷天外 ほか。
【上演時間】約125分
2016年11月12日 全国公開
※2017年11月13日追記